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イタリア通いを始める前は、イタリアンといえばまず"オリーブ油で にんにくのみじん切りと赤唐辛子を炒めて"からスタートするものと思 い込んでいました。
当時、日本で目にするレシピはほとんど皆そうなっ ていたからです。
けれどいろいろな地方に滞在し、それぞれの家庭のマ ンマのにんにく使いに触れ、その違いを知って遅まきながら気づいたのでした。
にんにくの扱い方もひとつでない事に。そしてそこから垣間見 える地方性にも。
イタリア料理にはつきもののニンニクですが、かといってすべての料 理にニンニクを使っている訳ではありません。
北の地方の洗練されたリ ストランテではほとんどニンニクを使わないシェフもいますし、またフ ランス料理の影響を受けてか、ミラノのシェフ達からはにんにくの代わ りにベルギーエシャロットを使うレシピもずいぶん教わりました。
どち らかというと、にんにくをガッと思いきりよく効かせるのは、南の地方に多いように思います。
さてそのニンニクの扱い方。私が基本にしているのは、皮をむいて縦 ふたつに切り、芯を取ってから包丁の背で軽くたたき、オリーブ油で香
りをだすやり方。芯はこの部分だけ先に焦げて臭みがでてしまいますし、 これを炒めた後から取り除くのはやっかいなので最初に取り除いておく
という次第。
このやり方ですと「ニンニクの香りはほんのりオリーブ油 に移る」という程度で、料理全体がニンニク味でいっぱいということにはなりません。
途中でつまんで鍋から取り除けますので、この意味でも ”ほんのり”というレベルが保てます。一方、ニンニクをみじん切りや
薄切りにするとそれだけ。
短時間に香りを移せるメリットがあり、面積が小さくなればなる程ニ ンニク味をしっかり効かせることができます。ただみじん切りは特に焦
げやすいので注意が必要です。
いずれにしろ鍋が”冷たい状態から”オリーブ油とともに入れて火に かける事が大切です。
鍋とオリーブ油が熱くなってからニンニクを加え ると、あっという間にニンニクが焦げてしまい、充分香りを出すことが
できないからです。
オリーブ油の量は、鍋底いっぱいにほぼ広がるくら いが一般的な目安。直径20〜22cmの平均的大きさの鍋だと、これ
は大さじ3くらいでしょうか。ただし最近は、イタリアでもなるべくカ ロリーをダウンする傾向にあるので、大さじ2くらいでも結構ですし、
私はさらに減らして大さじ1程度で調理することもあります。
火加減は 絶対に弱火。鍋全体が温まってくるまでは弱めの中火でも、にんにくを
入れたら必ず弱火で。根気良く、気長にじっくりきつね色になるまで炒 めましょう。
さて、ここまでのニンニクはすべて皮をむいて使うことを条件にして います。
ミラノに滞在中に習っていたSADLERというミラノで名高 いリストランテのシェフ、クラウディオ・サドレル氏は、皮つきのまま のニンニクをオリーブ油に漬けておいて、このオイルを随時すくい取っ て使っていました。
シャツのことはイタリア語でカミーチャ。それでこ のように皮つきのままのにんにくを”シャツを着たニンニク”というな
んともユーモラスな表現をします。
デリケートな味わいで知られる彼の料理。この繊細なニンニク使いからもなるほどと思いました。
”シャツを着たニンニク”をトスカーナの友人は、鶏肉やじゃがいも をオーブンでローストする時などに一緒に放り込み、ほくほくに焼けた ニンニクをそのまま食べたりもし、それはそれでおいしいものです。 |
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