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食器棚から鍋や器までアンティークにこだわり、シックにまとめられて いるロレンツァさんちの台所。最新のシステムキッチンが自慢のアントネッ
ラさんちの台所。古いものと新しいものがバランスよく収まっているマリー ザさんちの台所……。
テイストは違っても、料理好きマンマの家の台所はたいそう居心地がよ く、食に関するイタリア語だけはなんとか苦労しない私が、いちばん生き
生きできるのもここ。 そのイタリアの台所では電子レンジをほとんどと言ってよいほど見かけ
ません。
なにか理由があるのかしら、と知り合いのマンマ達に聞いたとこ ろ、「電磁波は体に悪いから」と心配顔で言う人。悪いという積極的な意 識までは持っていなくても「なんとなく悪いような気がして」という人。 どちらも科学的な根拠に基づいてというより、マイクロウェーブという近 代的な技術自体が感覚的にそぐわないよう。新しいものより、古いものが 大切にされるイタリアですから。
現実的な問題としては、「イタリアは電気代が高いから」という声もか なりありました。確かに「電気代が高くて」という愚痴はよく耳にします。
夜でも廊下は通常真っ暗で、人影が明かりに近づくとそこだけに次々と点 灯していくという合理的なシステム。
それも5秒もすると消えてしまうので、慣れないお宅では暗闇の中で慌 ててスイッチを手探りで探したり。夕方薄暗くなってきてもすぐには電気
をつけず、おしゃべりしている相手の顔がわからなくなるくらい、本当に 暗くなってからでないと電気をつけません。
イタリアのマンマは必要のない電気は消して回りますし、電気に関して は常日頃から節約モードなのです。 とは言っても、自動食器洗い機はかなり普及していますし、フードプロ セッサーは実に頻繁に使われています。 イタリアマンマ達が電子レンジを使わない一番の理由は、たぶん料理の おいしさが火の種類や火力の強弱によって微妙に異なるという事を、知っ ているからなのではないでしょうか。速効的な調理からは、それなりのお いしさしか得られないということを。 たとえばミネストローネ。確かに電子レンジでも可能でしょうが、弱火 でコトコトある程度の時間をかけて煮込んだ野菜の味は格別。煮込んでい る途中で鍋からふんわり立ち上がってくる香りも時間とともに変化し、30、 40分も経つとおいしい匂いに家中が包まれ、なんとも幸せな気分になる ものです。
イタリアではミネストローネなどの煮込みや豆料理になると、今でもわ ざわざ薪のストーブに鍋をのせて長い時間をかけて作る友人達もいて、さ
すがだなぁと感心するのです。肉の塊りを焼く時は暖炉の遠火でじわじわ とグリルしたり。1時間程度の煮込みものは毎日のおかずにしばしば登場
します。おいしいものを作るためなら時間を惜しまないイタリアのマンマ 達から、ある程度の時間をかけて始めて顔をだすおいしさがあるというこ
とを学んだような気がします。
かく言う我が家の台所には電子レンジがあります。マンマ達に知らない うちに感化を受けているのかどうか……、調理にはほとんど使いませんが、
冷凍ご飯の解凍や料理の温め直しには、なんと言っても重宝な存在。 けれどイタリアのマンマ達は冷凍するということもあまりしません。都
会のスーパーでは冷凍食品が増えてきてはいますが、それでも”急いで解 凍”という必要性はあまり感じていないように思われます。解凍する時は、
ゆっくりと自然解凍。
イタリアのスローライフの精神は、そんな電子レンジのない暮らしにも 表れているのかもしれません。
※5月25日配信の「野趣溢れるサラダ "ミスティカンツァ"」のレシピ
に記載もれがありましたので、正しいものを改めて掲載いたします。
* アンチョビードレシングのミスティカンツァ風
材料(作りやすい分量)
ルコラ、チコリなど香り高い葉野菜
イタリアンパセリ 各適量
ドレッシング アンチョビ(フィレ) 2枚
レモン汁 小さじ1強
白ワインビネガー 小さじ2
オリーブ油 大さじ4
塩(アンチョビの塩気に応じて) 少々
1 ドレッシングを作る。アンチョビは包丁で細かくたたいてボールに入れ、
レモン汁、白ワインビネガー、オリーブ油を加えてのばす。味見をして
塩味が足りなければ塩を加える。
2 ルコラなど好みの香り野菜を適当に手でちぎる。チコリなどは包丁で
細切りにする。イタリアンパセリは葉先をちぎる。
3 の野菜の水けをしっかりきって、いただく直前にのドレッシングで
さっとあえる。 |
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