イタリアのおいしい話 #18

「 「 カルパッチョとワインで夏の夕食  」



  ごく薄く切った白身魚のお刺身と、香り野菜やハーブ類を彩り良く盛り 合わせたカルパッチョは、夏にぴったりなメニューのひとつでしょう。
   "カルパッチョ"という、いかにもイタリア的な生きのいい音の響きを持 つこの料理は、ヴェネツィアのサンマルコ広場近くにある有名な”ハリー ズ・バー”というレストランで生まれました。
 医者から健康の為に生の肉を食べるように薦められていた、この店の常 連客であるアマリナ・ナーニ・モチェニゴ伯爵夫人の為に、当時オーナー であったジュゼッペ・チプリアーニ氏が考案したのが始まり。
 大切なお客の為に、彼は牛肉を薄ーく切って、つまりカロリーダウンで すね、器にきれいに並べてマヨネーズベースのソースを、線描き模様風に デザインしてかけ、美しく仕上げました。  このソースのかけ方も、考えてみれば少ない量のソースでおいしそうに 見せる、カロリーダウンの工夫に違いありません。

 ハリーズ・バーのレシピには「牛肉はプロシュット(生ハム)のように 薄く切る」と記されていますから、肉はかなりの薄さです。
   ちょうどその頃、ルネサンスの画家であるカルパッチョの絵画展がヴェ ネツィアで開催されていて、牛肉の赤い色とマヨネーズの黄色がその絵画 の色調に似ていた為に、料理名にこの画家の名前をつけたのだそうです。

 という訳で本来のカルパッチョは牛肉でした。今ではすずきや鯛、かじ きまぐろと魚介類にまでバリエーションが広がり、ごく薄く切って器の上 に平らに並べてさえあればカルパッチョと言ってしまうのかしらん?と思 うくらい。

 オリジナルのレシピは”チプリアーニ風カルパッチョ”と呼ばれていま す。
 ソースの材料は、卵黄とオリーブ油、レモン汁、ワインビネガー、セナ ペと呼ばれるイタリアのマスタード、塩。そして隠し味にウスターソース をほんの少し。最近はオリーブ油とレモン汁、塩、こしょうだけというシ ンプルなソースも増えていて、特に魚介のカルパッチョではこのパターン です。  さて、我が家でよく作るカルパッチョは、フリウリ・ヴェネツィア・ジュ リア州のリニャーノという北東の町でホームステイしていた女医さんから 習ったものです。
 使う肉は子牛肉の薄切り。これにマッシュルームとセロリの薄切りをたっ ぷり散らすのが彼女流で、ソースはオリーブ油とレモン汁、塩、こしょう、 そして生クリームを混ぜ合わせたものです。  ちなみに子牛肉は日本では手に入りづらいので、手軽な市販の牛のたた きを利用して、時々はルコラも加えています。

 日本のレストランではカルパッチョはほとんどの店でアンティパスト (前菜)の項目に並んでいますが、イタリアの家庭で肉のカルパッチョと きたら、堂々セコンド(主菜)という位置づけ。  夏場は特に、これにおいしいパンとワインで夕食を済ませることも多い のです。

<チプリアーニ風 カルパッチョ>       材料(4人分)
牛肉(脂身のないところ、ひれ肉など)   約400g 
  塩                  少々
ソース
   卵黄                2個分
   オリーブ油             約1カップ
   セナペ(マスタード)       大さじ1
   レモン汁              1/4個分
   ワインビネガー          少々
   塩                  適量
   ウスターソース          少々

作り方
1 牛肉は薄く切って、ラップをのせて肉たたきでたたいてさらに薄くの
  ばす。   塩をふってラップをかけ、冷蔵庫に15分くらい置いて休ませる。
2 その間にソースを作る。
  卵黄にセナペと白ワイン、塩を加えて混ぜる。オリーブ油を少しずつ
  加えてとろりと混ぜる。レモン汁とウスターソースも加えて混ぜ合わ
  せる。
3 器にを平らに広げて並べ、のソースをスプーンでデザイン的にきれい
  に置く。



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