イタリアのおいしい話 #19

「 干したトマトならではの味わいを生かして 」





サンマルツァーノ種のトマト
 梅雨明けが遅れて冷夏の可能性さえあると言われる日本ですが、イタリ アの友人達からのメイルによると、あちらは相変わらず「連日34、35 度の暑さ」とか。猛暑がおさまる気配は一向になく、トスカーナの友人か らは「暑いうえに、2か月もの間、雨が1滴も降らず、庭で育てている野 菜への水やりが大変です」というメイルも。

 陽射しの強い夏になると、盛んになるのがドライトマト作りです。作り方は簡単で、トマトを縦半分に切ってへたを取ったら網に並べ、塩をふって天日に干すだけ。干す日数は天候と好みにより、またトマトの種類とし ては、ソース作りに欠かせない細長い形のサンマルツァーノ種を始め、丸 形のローマ種やポモドリーノと呼ばれる甘みの強いミニトマトもよく干し ています。

 空気の乾燥しているイタリアと違って、湿気の多い日本ではなかなか思 うような干し加減にならず、かと言って、以前、日本でシェフからオーブ ンを使ったドライトマト作りを習ったことがあり、トライしてはみたものの、太陽の陽射しをたっぷりあびた、独特の鄙びた味わいには、とてもか ないませんでした。

 イタリアのメルカート(市場)には、トマトの種類や大きさ、干し加減 の微妙に異なる、いろいろなタイプのドライトマトが山積みになって、秤 売りで買うことができます。私はどちかというと、少し生っぽい半生タイ プのものが好み。干したことで生まれる味の凝縮感と、同時にトマトのフ レッシュな味わいも残っているからです。

 日本に輸入されているドライトマトは、とりつくしまのないくらいカチ ンカチンで硬いものが多く、半生派の私としてはちょっと残念。

 ドライトマトを使う時は、ぬるま湯につけて柔らかくなるまでもどして から。これを油漬けにして保存することも多く、この場合はギュッと絞っ て水けを取ってから、たっぷりのオリーブ油に漬けて保存しておきます。 頭まで完全に油に漬かっていないと、空気に触れている部分にカビがはえ たりするので、注意。バジリコなどのハーブ類や、赤唐辛子を一緒に漬け て風味を移すこともあります。

   もどしてオリーブ油に漬けた瓶詰めの状態でも売られていて、実のとこ ろ、私はこちらを愛用しています。日本で思うようなドライトマトが手に 入らないことと、自分でもどしてドライトマトがかぶるほどたっぷりのオ リーブ油を使うとなると、結構コストがかかるからです。

 オイル漬けにしたドライトマトはそのままつまめるくらいのおいしさ。 モッツァレッラ・チーズに刻んでのせ、バジリコを添えるだけでも簡単で おしゃれなアンティパストなります。さらにトマトやルコラを混ぜてサラ ダ仕立てにしたり、細かく刻んでペースト状にし、ガーリックトーストに 塗りつけても。また、フレッシュなトマトで作ったさっぱり味のトマトソー スに、刻んだドライトマトをアクセントに加えるソースは、ナポリのマン マから教わりました。ドレッシングに刻んで加えても味のポイントになり、 調味料として様々な可能性を秘めたドライトマト。大好きなアイテムです。

 空気が乾燥して、ヒリヒリと肌に痛いくらいの強ーい陽射しの真夏の イタリア。おいしいドライトマト作りには最適の季節ですが、実は来週か らトスカーナに滞在予定の私。他人事ではない、ちょっと心配な今年の猛 暑でもあるのです。



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