イタリアのおいしい話 #22

「 コルトーナで 自家製トマトの水煮作り」  」



 9月に入ってシエナからコルトーナに移りました。ここはシエナからほぼ真横に、 内陸に向かって車で約1時間の小さな田舎町。

 お世話になっているファビオと裕子さん夫妻からは、イタリアを発つ前に「自家用 に野菜を育て始めましたが、5月終わり頃から雨が1滴も降らず、水やりが大変」と のメイルを頂いていたので、私なりに勝手な家庭菜園をイメージしていたのですが、 着いてみると家の後ろに広がる畑は0.5ヘクタールほどもある広さ。ご夫妻はシエ ナとアレッツォという街に音楽関係のショップを2件経営しているので、農家ではな いのですが、とても素人が家庭用に野菜を育てているというレベルではありませんで した。

 ただ3か月もの間1滴も雨が降らない為に、畑にある井戸は枯れ果て、つい最近も うひとつ井戸を掘ってなんとか野菜を育ててはいるものの、8月いっぱい続いた40 度近い猛暑と極度の乾燥で、ズッキーニも玉ねぎものびのびと大きく育つまでにいか ず、あんずも梨も樹木の葉はどれも干からびてちじこまり、季節が移って雨が降るの をじっと耐えて待っている様子。

   この畑には細長いサンマルツァーノというソース用のトマトや、ポモドリーノと呼 ばれるころころの小さなトマトも育てられています。ちょうど今頃、8月の終わりか ら9月の始めにかけてはどこの家もこのトマトを使っての保存食作りが盛んになりま す。というのも八百屋やスーパーがトマトの季節としては終わりになるこの頃、山積 みにして安く売り払ってしまうからです。

 その安い時期をねらって大量に買い込み、マンマ達はトマトの水煮、トマトのサル サ(ソース)、パッサータ(トマトを裏ごししたもの)など自家用に1年分をまとめ て作るそうです。

 タイミングよく、隣に住むイリアーナさんが「今日トマトの水煮をまとめて作るの で」とキッチンに呼んで下さいました。お隣さんもファビオ夫妻同様、広い畑で自家 用の野菜や果物を育ていて、トマトの収穫をしたところでした。籠いっぱいのトマト は、サンマルツァーノだけでなく丸い形のローマ種などいろいろ。家庭用なので種類 毎に仕分けなどせず、みんな一緒に瓶詰めにしてしまうそうです。

 まずこの日の為に少しずつ集めておいた、瓶を消毒します。それは蜂蜜が入ってい たもの、ジャムが入っていたものなど形も大きさもマチマチ。大きな鍋にたっぷりの 湯を沸かして瓶を入れ、熱湯に完全に沈めて2,3分煮て、煮沸消毒したら乾かしま す。カビがはえないよう、完全に乾かすのが原則。

 ではトマトの水煮の作り方。

   トマトはナイフでへたをくり抜いて皮をむき(ちなみに完熟している
      ので手で楽にむけます)、半分に切って種を取り除き、かるく絞って
   水分をきります。ちなみに種は取り除かない人もいます。
   消毒した瓶にこれを次々にギュッと押しながら入れ、いっぱいになる
   まで詰め込みます。空気が入らないよう、完全に口いっぱいになるま
   で詰めるのがコツ。

   最後にバジリコの葉を5,6枚のせ、瓶の蓋をしっかりしめます。
   瓶がかぶるくらいのたっぷり湯を沸かした大鍋にを静かに並べ入れ、
   約20分煮たら出来上がり。瓶と瓶が動いてぶつかって割れたりしな
   いよう、この時に布巾など布を敷くマンマもいます。

 トマトの水煮のほかにマンマ達が作りおきするものに、パッサータ・ディ・ポモドー ロとよばれるものがあります。なんのことはない、トマトの裏ごし。でもこれが結構 重宝な常備品となり、イタリアの家庭では活躍します。

作り方は

   トマトは半分に切って皮をむきます。
   これを”野菜こし器”と呼ばれる調理器具に入れてぐるぐると
   ハンドルを回しながら漉します。種はここで自然に取り除かれ
   ます。
   消毒した保存瓶にを口きりいっぱいに入れ、しっかり蓋をして
   熱湯の中で約20分煮ます。

 季節柄、ちょうどトマトの保存食作りを特集している雑誌があり、トマトの並べ方 から冷凍の仕方など細々と注意点など書いてありましたが、マンマのやり方はいつも 拍子抜けするほどいたってシンプル。いろいろな料理に幅広く使えるよう、両方とも、 塩もオリーブ油も入れず、そのまま半年から1年は保存できるそうです。  最近はうちの近所のスーパーでも、トマトソース用の細長いトマトを見かけるよう になりました。日本に戻ったら、今年こそ自家用トマトの水煮とパッサータに挑戦し てみようと思っています。

***安全についてのコメント@***********************************
  この「消毒した保存瓶にを口きりいっぱいに入れ、しっかり蓋をして熱湯の中で約20 分煮ます。」の部分、場合によっては危険である可能性がございます。
 
  現地で見ていて問題ないとは思いましたが、私のほうでもテストしてみたく思います ので、実践は少々お待ちください。

***安全についてのコメントA************************************
  トマトの水煮作りの件では、お騒がせして申し訳ありませんでした。 トマトを口いっぱいに入れてしまうと、熱湯で煮ている間に瓶が割れたり、 ひび割れたりしないか、ふと心配になったものですから。

  試作してみた結果割れることはありませんでしたが、安全の為にトマトの量は瓶の8、9分目程度にしましょう。

  瓶の厚さは2,3mm。ごく一般 的に売られているジャムやはちみつなどが入っていたもので、大きさの違 う何種類かを使用しました。あまり薄い瓶は使わないようにして下さい。

   なお布が敷いていないと、沸騰しているお湯の中で瓶の底が踊り、絶えず カタカタ音がしますし、また瓶同士がぶつかり合って割れることもありま すので、布巾を1枚敷き込んだほうがよいでしょう。



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