イタリアのおいしい話 #23

「 パルミジャーノさえあれば 」





パルミジャーノ・レッジャーノ
 「サラダにかけただけなのに、おいしくなってびっくり!」 「そぎ切りにしてつまんだらおいしくてやめられない。ワインと楽しんでいます 」

 パルミジャーノ・レッジャーノをプレゼントした友人達からそんな報告を聞くと、いつもにんまり。そうでしょう、そうでしょう、とうれしくなるのです。 日本では粉におろした状態で売られていることの多いパルミジャーノですが、本来のおいしさを知って欲しくて塊りのままで贈っているのです。 薄く削ったり、ホロっと小さく砕いてつまめるように。

 パルミジャーノは我が家の常備品。たいていは1キロ前後の塊りで買って、半分は塊りのまま、残りの半分はいつでも料理に使えるようにフード プロセッサーにかけて粉の状態にして保存しています。

 たとえありあわせの葉野菜だけだったとしても、チーズスライサーで透 けるように薄くそぎ切りにしたパルミジャーノをひとかけ、ふたかけとふんわりのせていくだけで、本格派のイタリアンサラダになるのです。 さらに、これにフライパンで香ばしく炒った松の実とレーズン、酢漬けのケイパーをパラパラと散らしていくと、シエナのアントネッラさんから習っ た”メディチ家風サラダ”に変身。ほんの少しのことなのに、複雑な味わいのおいしいサラダにグレードアップします。ちなみにドレッシングは、 いつものように上質のオリーブ油と白ワインビネガーかレモン汁、そして 塩だけです。

 パルミジャーノ・レッジャーノは、イタリア中部エミリア・ロマーニャ 州のパルマとレッジョ・エミリアというふたつの地域を中心に生産されて いる超硬質のチーズです。直径40〜50cm、重さも40kg近くある大 型のチーズで、原料は牛乳。カーリオと呼ばれる天然の酵素を加えてざっ とまとめて綿布に入れてつるし、その後、樽形の器に移して1週間から10 日くらいかけて水けをぬきます。さらに2、3週間塩水のプールに漬けた後、セラーと呼ばれる熟成庫に移し、最低2年間熟成してから出荷される のです。長い期間の熟成によって生まれる凝縮された旨みと香りこそがパルミジャーノならではのおいしさ。イタリアでは”チーズの王様”と呼ば れているのも頷ける実力派のチーズです。

 エミリア・ロマーニャ州のモデナという街の、伝統バルサミコ酢生産者 協会の会長さんであるクラウディオ・ビアンカルディ氏のご自宅で夕飯を ご馳走になった時のこと。パルミジャーノを小型の専用のチーズナイフで ざっと砕いて、そのひとかけに25年物の伝統的バルサミコ酢をとろりと かけ、アンティパストに出して下さいました。

   この土地ではおなじみの、それはそれはおいしい組み合わせ。ポイントはパルミジャーノが上質であ ること。そしてバルサミコ酢は工場生産のお手軽なものでなく、伝統的な製法に添った手作りの、10年、20年と長い年月をかけて木樽の中で熟 成させたバルサミコ酢であること。シンプルながら、気品のあるひと皿。 どちらも本物でなくては成り立たない、贅沢な味のマリアージュなのです から。

   切り立ての、鮮度の良いものほどおいしいことはわかっているのですが、 家庭では消費量もしれているので、塊りで買うと残りを保存しておかなくてなりません。チーズが呼吸できるようにチーズクロスと呼ばれる布でく るんでおけるとよいのですが、日本では手に入らないのでうちではペーパー タオルで包んでから、匂いと乾燥を防ぐ意味でラップに包んで冷蔵庫に入れています。

イタリアでお会いした造り手さん達は「何年も熟成してある からタフなんだ。常温で何か月も大丈夫」と教えてくれましたが、湿度の 点など条件が違うので、同じようにはいきません。なお日本でもチーズ専 門店に行くと、”チーセロ”という商品名の、保存用セロファンが売られ ていることがわかりました。今度はこれを使ってみようと思っています。

  ps チーセロ   60g(約20枚入り) 310 円
    (フェルミエ Tel. 5776−7720)     



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