イタリアのおいしい話 #30

「 ヘルシーな食卓にかかせない コントルノ 」



 アメリカ産牛肉のBSE問題に続いて鶏インフルエンザ。食の安全に関 わる問題が次々に起きて、もうこうなったらしばらくの間、俄かベジタリ アンにでもなるしかないかしらんと、ヤケッパチな気分にもなるこの頃で すが、幸いにしてイタリアンって野菜料理が豊富なんですね。  
  日本でもおなじみの玉ねぎ、にんじん、セロリ、キャベツにじゃがいも、 なすといった野菜はもちろん、ズッキーニやジャンボピーマンはごく一般 的。他にもアーティチョーク、フィノッキオ、縮緬キャベツ、根セロリ、 ポロねぎ、ズッキーニの花などなど。イタリアでは野菜の種類が実に豊富。 その上、同じ野菜でも地方によって種類が少しずつ違ったりします。

  例えば、玉ねぎひとつとっても普通の玉ねぎの他、パルマ産の玉ねぎ、トロペ ア産の紫玉ねぎ、マリネによさそうなチポリーネ(小玉ねぎ)、葉玉ねぎ など。ズッキーニならごく普通の細長いものの他に、詰め物に最適のコロッ と丸いものが目をひくと思うと黄色いものあり、リグーリア産の細くてデ リケートなものあり……。メルカート(市場)にどーんと山積みになって いる色とりどりの野菜を眺めていると、いつも心が浮き立ってきます。

   種類が豊富なだけでなく、季節感がきちんとあるところもうれしい点。 イタリアではハウス栽培のような手のかかることはほとんどしないので、 春には春の、秋には秋の野菜だけ。旬のものだけがのびのびと大きな顔を して並んでいて、心地よい健全さに溢れているのです。

   さてイタリアでは肉や魚料理には、コントルノと呼ばれる野菜料理をよ く一緒に食べ合わせます。レストランのメニューは、アンティパスト(前 菜)、プリモ(第一の皿・パスタ、リゾット、スープ)、セコンド(第2の 皿・肉と魚料理)と続き、その後にこのコントルノ(付け合せ)という項 目が存在していて、最後にドルチェで締めくくられます。具体的な中身は、 ゆでた野菜や豆類、グリルしたりマリネした野菜類、季節のサラダといっ たところが一般的なところでしょうか。

   控えめで、どことなく中途半端な存在ながら、このコントルノには注目 していました。野菜がたっぷりおいしく食べられるという点。そして家庭 の食卓に入ってマンマ達の手にかかるとパワーアップし、バリエーション 豊かに展開するからです。ゆで野菜たっぷりとサラダはもちろん定番中の 定番。他にピーマンやトマト、じゃがいもなどに詰め物をしたり、ズッキー ニやかぼちゃに衣をつけて揚げたり、煮込んだり。なすやカリフラワーな ど手作りのマリネ類もびん詰めになって保管されています。

  パンチェッタ や生ハムなどの肉類や魚介類と野菜を上手に組み合わることも多く、こう なるとセコンドとして立派に昇格することも。野菜を使った料理は、イタ リアのマンマ達がまさに得意とするところです。

   面白いのは、コントルノがシンプルな添え野菜の時でもセコンドとはひ と皿盛りにしないこと。それは付け合せではなく、あくまで野菜のひと皿 という立場を主張しているかのようです。例えば 肉のグリルにローズマリー風味のじゃがいものオーブン焼きを組み合わせたとします。私達の感 覚では、肉のグリルの横にいくつか添えてもいいんじゃぁないかしらんと 思いますが、肉は肉で律儀にひと皿。じゃがいもは必ず別の器に盛られて 食卓に並びます。たとえ後から各自がお皿の上に一緒に取り分けることに なったとしても。

   初めてイタリアの家庭料理を現地で取材&撮影した時のことです。 イタリアの食卓のことをろくに理解していなかった私は、写真映りの彩り ばかりを考えて、見た目が地味な肉や魚の主菜に「なにか色みのよいゆで 野菜でも添えたらどうですか?」と提案して、却下されてばかり。

  若いミセス達は「最近はそうすることもあるわね」と屈託なく応じてくれるものの、50代、60代の貫禄のあるマンマ達は「ノン」。コントルノはあく まで独立した料理として、同じお皿に一緒に盛り合わせるという習慣があ まりないことを、やんわりと教えてくれたのでした。

  原則というはっきり したものではないけれど、伝統的、心情的にどこかなじまないものなのだ と。  では、牛肉や鶏肉が安心して食べられる日が早く来ることを祈りつつ、 おいしくて手軽にできるマンマ直伝の野菜料理を以下に2つご紹介します。 どちらもうちで良く作るもので、アスパラガスのほうは、ベシャメルソー スをかけると、さらにボリュームアップして主菜にもなります。

<いんげんの田舎風トマト煮> 材料(4人分)
    いんげん               約400g
    にんにく                大1かけ  
    玉ねぎ                  50g
    フレッシュトマト          240g〜300g    (またはトマト水煮缶)
    塩                 小さじ2/3強
    オリーブ油               大さじ2
    あればイタリアンパセリのみじん切り     少々

作り方 1 いんげんは固ければ筋を取ってさっと塩ゆでする。
   玉ねぎはみじん切りにする。にんにくは縦ふたつに切って芯を取り、
   包丁の背で軽くたたきつぶす。
 2 鍋にオリーブ油とのにんにくを入れて中火にかけ、
   温まってきたら弱火にしてじっくりにんにくを炒めて取り出す。
   玉ねぎを入れて炒め合わせ、トマトをざっと刻んで加え、塩を入れて
   中火にし、10分ほど煮る。
 3 のいんげんを加えてさらに5分ほど煮、塩味をととのえて仕上げに
   イタリアンパセリを散らす。

<アスパラガスのチーズ焼き> 材料(4人分)
   グリンアスパラガス                8〜12本
    生ハム(またはパンチェッタ、ベーコン)     4〜6枚
   パルミジャーノ・レジャーノ(すりおろし)     大さじ3
   バター(無塩)                     少々
   オリーブ油                       少々

作り方 1 アスパラガスは根元の堅い部分を切り落として長さを2つにし、
   さっと塩ゆでする。
   生ハムは、アスパラガスの根元から半分くらいまでに斜めに巻きつけ
   る。大きければ適宜切ってから巻く。
   (パンチェッタ、またはベーコンは長さを半分にする)
  2 耐熱器にを、巻き終わりを下にして並べ入れる。
   パルミジャーノを全体にふりかけ、バターをところどころに落とす。
   オリーブ油をまわしかけ、200度のオーブンでチーズがこんがり
   おいしそうな色になるまで焼く。

    * 生ハムやチーズの塩けがあるので塩はふりませんが
      お好みで塩味を調整してください。    



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