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ホームステイ先を探す際に力を貸してくれるのは、イタリアの友人達で す。彼らのお陰で、ローマでもミラノでも、それまでは料理上手なマンマ
のいる家庭に滞在できていたのですがに、ヴェネツィアだけはなかなか受 け入れ先のイタリア人家庭をみつけることができませんでした。
イタリア一保守的と言われる土地柄だけに、外国人を家の中に入れるこ となど余程のコネがないと無理のように思われました。
飛行機のチケットも手配し、出発日が真近に迫ってきてさすがに気を揉 んでいた矢先、幸運が舞い込んだのです。友人のまたその友人から。
滞在先のアンナさんは、かつてトラットリアのオーナーシェフをしていた60代の女性。彼女の母親も、子供達もみんなで一緒に働くという、イタリアの典型的な家族経営のレストランです。
残念なことに、30年近く続いたその店はすでに閉めてしまっていまし たが、料理の腕前はもちろん確か。
地元の家庭料理を習いたいという私の希望に、快くかつ熱心に応えてく れました。そのアンナさんからの最初のレッスンが「グリンピースのリゾット」。
と言ってもヴェネツィア名では ‘Risi e bisi (リーズィ エ ビーズィ)’。
グリンピースのことはイタリア語でピゼッリと言いますが、それがここ ではなんとビーズィ。イタリアの中でも方言が強いこの地方では、こんな
風に同じ料理でも名前がガラっと変わっているのでとまどうことが多いのです。
‘リーズィ エ ビーズィ’は、伝統的にはズッパ(スープ)というグ ループに入るでしょうか。普通にイメージするリゾットよりずっと水分が 多く、スープっぽいのが特徴です。さらにアンナさん流は、グリンピース を思いきりたっぷり入れること。
びっくりしていると「イタリア人にとって、お米は野菜のひとつ。これ はあくまでグリンピースとお米の2種類の野菜のリゾットなのよ」と説明
してくれました。
作り方は、玉ねぎのみじん切りをオリーブ油とバターで炒めたら米を加 えて炒め合わせます。他のリゾットでも同様ですが、米は決して洗わずに。
油が回って米が熱くなったらグリンピースを入れてさっと炒め、塩と白ワ インを注いで煮詰めます。そして別の鍋にふつふつと温めておいた野菜の
スープを最初はたっぷり、次からはお玉に1杯ずつ加えながら、15〜1 6分煮ます。
塩味をととのえ、パルミジャーノのすりおろしをたっぷりひとつかみ加 えて手早く混ぜ合わせれば出来上がり。
ちょうど今頃、日本でもグリンピースを入れた豆ご飯を炊くのよ、とい うとアンナさんはにっこりしながら、「イタリア人っていうとパスタと思 うかもしれないけれど、ヴェネツィアはパスタではなくリゾット圏なのよ。 ここではパスタよりお米をよく食べるの」と。
イタリアでの米の栽培は、ミラノのあるロンバルディア州からヴェネツィ
アのあるヴェネト州にかけてのポー川流域が中心。もちろん今ではスパゲッ ティを始めとした乾燥パスタや、手打ちパスタ、ニョッキといろいろ食べ
ますが、アンナさんの言うように、伝統的に北部の人達は米を食べる習慣 を持っています。
そんな訳で、アンナさんからは他にも魚介のたっぷり入ったリゾット、 いかすみのリゾット、トレヴィスという少し苦味のあるシャリシャリした
歯ごたえの野菜のリゾット、春野菜のリゾット...といろいろなリゾッ トを習いました。
そういえば、家族経営のトラットリアでお父さんだけはどうしていたの かしらん?話に出てこなかったけれど。働き者の奥さんをいいことに、の んびり外のテーブルでおしゃべりしていたりして....などと勝手に想 像していましたら、ご主人の職業は別にあって、それは‘ゴンドリエーレ’ であることが判明。 水の都ヴェネツィアときたらゴンドラ。そのゴンドラの船頭さんがゴン ドリエーレです。リクエストがあれば歌も謡ってくれるそう。
せっかくのチャンスでしたのに、独りで乗るにはちょっと気恥ずかしく て、お父さんのゴンドラに乗って自慢のカンツォーネを聞く機会を逸して
しまったことが、今でも心残りなのです。
<アンナさんの グリンピースのリゾット> 材料(4〜6人分)
米(イタリア米) 240g
玉ねぎのみじん切り 60g
グリンピース(生) 150g
オリーブ油 大さじ2
バター(無塩) 30g
塩 適量
白ワイン 100cc
野菜スープ 1〜1.2リットル
パルミジャーノ・レジャーノ ひとつかみ
作り方
1 鍋にオリーブ油とバターを入れて玉ねぎを加え、ゆっくり炒める。
2 の鍋に米を入れて炒め合わせ、油が回って充分熱くなったら、
グリンピースも加えてさっと炒め合わせる。
3 熱い野菜のスープの半量をに注ぐ。塩を加えて時々木べらで
混ぜながら煮て、水分が なくなってきたら残りの野菜スープをお玉
1杯分くらいずつ注ぎながら、15〜16分 煮る。塩味をととのえて
最後にパルミジャーノを たっぷり加えて手早く混ぜる。
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