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ローマ滞在中に必ず一度や二度は覗いてみるのが、フランキ(Franchi) という食料品店。ヴァチカンにほど近く、ヴィア・コーラ・ディ・リエン
ツォという大きな通りに面しています。
フランキにはチーズや生ハム、サラミ類、各種パスタを始め、伝統的バ ルサミコ酢やボッタルガ(からすみ)といった高級品なども揃い、その品 質の良さは折り紙つき。また豚肉や鶏肉のグリル、魚介のマリネ類といっ たお惣菜コーナーもあり、ちょっとした立ち食いスペースもあるので、こ こで‘イタリアの揚げおにぎり'とでもいうべく、熱々のアランチーニをぱ くつくのをいつも楽しみにしているのです。
先週の月曜日、このフランキに行ってみると、大きなショーウインドー の中には卵形のチョコレートがいっぱい。真近に迫ったパスクワの為に、
華やかにラッピングされた大小様々なチョコが飾られていました。
パスクワ(Pasqua)は英語でいうところのイースター。復活祭のことです。
陰暦で決まる為に日取りは毎年変わり、今年は4月12日の月曜日。前の 週の木曜日か金曜日あたりから、土、日をはさんでこの前後約1週間はパ
スクワの休日となり、学校も会社もお店もすべてがお休みモードに突入し ます。クリスマスと並んでパスクワは、イタリア人にとって大切なヴァカ
ンスなのです。
ヨーロッパの他の国同様、イタリアでも復活祭には‘新しい命の誕生’ をイメージする卵がつきものです。フランキのみならず、イタリア中のお 菓子屋さん、食料品店、スーパーには卵形のチョコが飾られ、それはちょ うどクリスマス前にパネットーネやパンドーロといったパン菓子がうず高 く積まれているのと雰囲気的には同じ。
チョコの大きさは5、6cmの小さいものから中には60cm近い迫力満点 のものなどいろいろですが、平均的なサイズは高さ20〜30cmくらい。
チョコ自体の厚さは3〜5mm程度の為、見た目よりずっと軽く、割って みると中に可愛らしいオマケが入っているものを多く見かけます。
もちろんチョコだけでなく、パスクワの食卓には本物の卵を使った料理 が登場します。例えばナポリではゆで卵入りのラザーニャ。‘復活祭のラ
ザーニャ、ナポリ風’(Sagna chiena)は、セモリナ粉で作ったラザーニャ 生地の間に、アーティチョークなどの野菜のソースと肉だんご、豚肉、ゆ
で卵の薄切りとモッツァレッラをはさんで焼いたもの。
何年か前、ちょうどパスクワの頃滞在したジェノヴァ近郊の町では、 ‘トルタ・パスクアリーナ’(Torta pasqualina) と呼ばれるこの土地の 伝統的な復活際のタルトを習いました。これもゆで卵が入っているのが特 徴で、中身はビエトラという葉野菜とマジョラムなどのフレッシュハーブ、 そしてリコッタチーズ。周囲にぐるりと殻をむいたゆで卵を丸ごとのせ、 タルト生地で包んで焼き上げるのです。
こんな風に手の込んだ伝統料理でなくても、ゆで卵の詰め物が並んだり、 マッシュポテトをベースにしたサラダをゆで卵の形に倣ってこんもり丸く
盛り付けたり....とパスクワの食卓らしさを演出するのです。
さてフランキには鳩の形をしたパン菓子も所狭しと積まれていました。 これはもうひとつのパスクワに欠かせないお菓子‘コロンバ・パスクワー
レ’。幅25cm,高さは5くらいのこのパン菓子は、フィリングに凝ってい る訳でもなくシンプルなパン生地に、粉砂糖かアイシングで頭や羽のあた
りが飾ってある程度の素朴なもの。
‘平和’‘友愛’のシンボルである鳩を型どったコロンバか、‘復活’ の象徴である卵形のチョコか、このどちらかを友人達や、職場の仲間、お 世話になった周りの人たちに贈り合うのがパスクワの慣わしなのです。日 本のお中元やお歳暮といった感覚でしょうか。
私も何回か贈ったり贈られたりしましたが、なかには高級でおいしいチョ コを使ったものもあるものの、一般的に味わいのほうは今ひとつ。30cm
もあるチョコをいくつももらったからには、たいていは持て余してしまい ます。
コロンバのほうもお世辞にもおいしいとは言えません。そしてたいてい はどこの家でも4個や5個は集まるので、パスクワの後はしばらくの間、
パサついてきた残り物のこの鳩の形のパンお菓子が朝食の毎に食卓に並び、 ちょっと閉口。でもまぁ、これはひとつの縁起物。本格的な春の訪れを祝っ
て、と自らに言い聞かせながら無理やり飲み込むのです。エスプレッソと 温かな牛乳をカップの上で合わせ入れたカッフェッラッテとともに。
お詫びふたつ
前回ご紹介したグリンピースのリゾットですが、材料の一部に
間違いがありましたので訂正させていただきます。
グリンピースの量は、150gより増やして200g〜220 gに。
もちろん150gでもおいしくできますが、さらに増やすと
ぐっとヴェネツィアのアンナさん流に。
イタリア滞在中の為、今月は発行日が変則的になっています。
勝手をお許し下さいね。
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