イタリアのおいしい話 #6

「 ミラノマダムのヘルシーな野菜のラグー 」



 大きな食卓いっぱいに並べられた山盛りのパスタ、おいしそうにグリル された肉の塊、どっしりとした野菜料理、見るからに甘そうなデザート、 エトセトラ、エトセトラ...。食卓の回りには、ワイン片手に陽気にお しゃべりを楽しむマンマを中心とした結束の固そうな大家族。こういう場 合のマンマはたいていはたっぷりと肥って貫禄があります。

  日本のテレビ などに映し出されるイタリアの食卓風景はどこかステレオタイプなところ があって、イタリアの人達はアンティパスト(前菜)から始まるフル・コー スを毎日たらふく食べている、そんな風に思っているかもしれません。
  だっ て現にマンマはあんなに肥っているのだものと。

 けれど普段のイタリアの食卓はいたってシンプル。むしろ質素と表現し てもよいくらいです。パスタなどプリモ1点とコントルノと呼ばれる簡単 な野菜料理、食後に季節のくだものと好みでエスプレッソ、くらいで済ま せることも結構多いのです。
  そのプリモは野菜中心のシンプルな内容が多 く、肉や魚が入る具たくさんパスタはもうごちそうに格上げされ、 「ユミコ、今日のパスタはたんぱく質が入っているから、これはもう セコンドも一緒になったピアット・ウニコ(ひと皿)と言っていいわ」 などというコメントとともに運ばれたりします。
 セコンドというのは肉や魚などを使った主菜のことで、食卓に登場しな いこともあり、仮にセコンドがでたらパスタはごくごくシンプルなものか、 替わりにスープと野菜サラダをたっぷりとか。だいたいそんなバランスです。これは昼食ではなくれっきとした夕飯の話。

  もちろん例外はあります。お客さまのおもてなしやパーティの場合です。 この日ばかりはアンティパストからドルチェ(デザート)までフルコース で並び、さらにパルミジャーノ・レジャーノやペコリーノといったチーズ 類、おまけに食後のリキュール各種。おしゃべりも夜遅くまで延々と続い たりします。
 イタリア人だってそんなに毎日たくさん食べていては体に良くないこと 知っていますものね。こんなのは時々のこと。とりわけ若い女性達はひと 時代前のマンマ達のように肥りたくないの、と切実に思っているみたい。

  加えて、ここ数年のヘルシー志向。生クリームやバターをたっぷり使う伝 統的フレンチに比べてもともとヘルシーな料理と言われているイタリアン ですが、4,5年ほど前からは毎年滞在する毎にそのヘルシー度が洗練さ れ、都会の高級リストランテから一般の家庭にまで広がりつつあることを 感じます。

 ところでミラノマダムの某友人は、健康を意識して肉類をあまり摂りま せん。
  その彼女から教わったパスタのソースに‘野菜のラグー’というちょっ とおもしろいレシピがあります。ラグーというのは日本ではミートソース としておなじみのものだけに、当時の私は肉の煮込みイコール‘ラグー’ という知識しか持ち得ていなかったので、それは新鮮な音の響きでした。
  また作ってみるとどこにもカドがない、自然な味わいでおいしく、加えて 冷蔵庫の残りもの野菜でも簡単にできるという主婦ならではの家庭料理で あることにも気づき、感心したものでした。  

   野菜のラグーソースのパスタ 材料( 4人分)

 好みのパスタ       280g〜300g
 玉ねぎ            1個
 にんじん           6、7cm
 セロリの茎         1本
 ズッキーニ         1本
 ベーコンの薄い切り   4枚
   (あればパンチェッタ)    
 にんにく           大1かけ
 白ワイン           1/2カップ
 トマト水煮缶         1個(400g)
 あれば生バジル        2〜3枚
  塩                小さじ1前後
 オリーブ油           大さじ3〜4
 パルミジャーノ・レジャーノ(すりおろし)   適量

  作り方 @ 玉ねぎなど野菜とベーコンはすべて粗みじんに切る。
 A にんにくは縦2つに切って芯を取り、オリーブ油と弱火にかけじっく
  り炒める。ベーコンを加えて炒め、ズッキーニを除く野菜をすべて入
  れてゆっくり炒める。ズッキーニは煮くずれるので後から加える。
  白ワインを入れて煮詰め、トマトの水煮缶をつぶしながら加える。
  塩も入れ、強めの中火で15分くらい煮る。あればバジルを入れて香
  りを移す。
 B たっぷりの湯に塩ひとつかみを入れ、パスタをアル・デンテにゆで、
  Aのソース半量であえて器に盛る。残りのソースをかけ、パルミジャー
  ノをたっぷりふり、好みでオリーブ油少々を仕上げに回しかける。



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