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2000年の1月からささやかなイタリア家庭料理のサロンを開きまし た。粗忽者の私は、なんと21世紀の初めの年は”2000年”とひどい
思い違いをしていて、「この記念となる新しい年から料理教室をスタート しよう!」なあんて張りきってしまった次第。
本当は2001年からが新世紀だったんですね。
さてサロンではイタリア各地で習った家庭料理を中心にメニューを組み 立てています。古くから伝わる料理というより、むしろ新しい感覚の現代
的家庭料理です。でも時々、これはと思う伝統的なレシピもところどころ にさしはさみます。
先月のサロンで紹介したのも、そんな南イタリア生まれの”ソッレント 風ニョッキ”。 ニョッキ生地の材料は、じゃがいもと薄力粉、そしてひとつまみの塩。
卵黄を加える配合も今では一般的ですが、卵がまだ贅沢品だった頃の名残 りということで、このレシピに卵黄は入りません。
じゃがいもをゆでたら 熱々のうちにふーふー言いながら急いで皮をむき、フォークでなめらかに つぶし、粉と塩を加えて全体を混ぜてひとまとめにしたら生地の出来上が り。直径約1.5cm、長さ約2、5cmくらいのニョッキ形に作り、フォー クの腹にのせてくるりと転がし、表面に筋をつけます。
こうして作ったニョッキをゆで、トマトソースであえ、適当にちぎった モッツァレッラチーズと一緒にオーブンで焼き上げるのがソッレント風。 こくがあって、こんがり香ばしく焼けた様子がいかにもおいしそうなので、 うちでは冬のおもてなしによく作ります。
教えてくれたのは、ナポリ生まれ、ナポリ育ち、生粋のナポリっ子とい う60代のマンマ。 彼女のこのレシピで印象に残ったのがトマトソースの作り方でした。ま ず最初に20cm正方くらいに切った豚の皮を広げ、軽く塩をふり、刻ん だにんにく、イタリアンパセリなどのハーブ類をのせてくるりと巻いて楊 枝で留めます。ちなみに豚の皮は肉屋さんで売っていて下ゆでしてあるもの。
鍋にオリーブ油とにんにくのみじん切りを入れて香りをだしたら、こ の豚皮のロール巻きを入れて焼きつけ、トマトの水煮缶をつぶし入れて塩
を加え、20分ほど煮込みます。
「ふーむ、こうしてソースにコクをつける訳ですね」と言うと、「豚の 旨みで結果としてそうなるかもしれないけれど、でもこれは後でセコンド
(主菜)として食べるのよ」と意外な答え。
豚皮のロール巻きはてっきり ダシ用で、取り出してしまうものと思い込んでいました。ひとつの鍋でパ スタのソースとセコンドを同時に作ってしまう、というマンマならではの アイディアなんだそうです。
豚皮を使った料理はイタリア各地の古いレシピで時々見かけますが、今 ではあまり一般的でないようです。 イタリアの友人達にこの料理を習ったことを話すと 「えー、知らない」 「でも今は豚の皮なんてあんまり使わないかも」という素っ気ない反応。 サロンでもこのレシピの通りにトマトソースを作りましょう、とは言い ません。
その土地ならではの歴史と、暮らしに根づいた背景のあるレシピ をただ単に日本で真似してみても意味がないなぁ、とも思うので。ソッレ
ント風ニョッキは普通のトマトソースでもおいしくできます。
ただ、ひと口にトマトソースと言ってもいろいろな味のバリエーション がある、そんなことが少しでも伝わったらいいなと思って。
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